薔薇姫-バラヒメ-

途端に、レオが笑い出した。


「くくっ…」


「なッ…」


「メイ、お前…本当意地っ張りだな」


お腹を抱えて笑うレオが、あたしはを見上げた瞬間。


…不覚にも、心臓が高鳴った。



絶対レオってば、あたしのことバカにしてる。


ときめくもんかーって思ってても、言葉とは裏腹に、壊れるくらい高鳴る心臓。


あたしばっかりって思うと、何か悔しい。


「…い、意地なんか張ってないわよ!本当にお腹空いたのっ」


………うそ。


悔しいから、つい意地張っちゃうの。


悔しいから…可愛げないこと言っちゃうの。



好きだから…悔しい。



「わかったよ。俺のオススメ買ってくるから、そこら辺のベンチに座って待ってろ」


まだ笑いをこらえながら、レオはそう言って走っていった。



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