薔薇姫-バラヒメ-
「話って?」
椅子に腰掛け、あたしはそう切り出した。
ネオは、まだ真剣な表情を崩さないまま、慎重に口を開いた。
「…言うべきか、迷ったんだけど。メイには言っといた方がいいかなって」
あたしまで、ネオにつられて真剣な表情になった。
眉をひそめて、「え?」と聞き返す。
「…兄貴の、ことなんだけど」
「レオの…?」
ネオは小さく頷くと、視線を足下に落として話し出した。
「薔薇姫の歴史は、兄貴から聞いたと思う。ただ、相手の貴族の話は聞いてないだろ?」
貴族って…、確か…
「魔界から…追放?されたんだよね?」
「そう。その貴族、俺たちの親父の兄貴なんだ」
………え。
その事実に、あたしは目を丸くした。
「嘘っ!?」
レオのお父さんのお兄さんが…あたしのお母さんの相手!?