薔薇姫-バラヒメ-
…そんなの、わかってる。
メイと話してみて、いい子だってことはすぐにわかった。
けど、問題はそこじゃないだろ。
「俺はっ…心配なんだよ!」
拳を握ってそう叫ぶと、兄貴は視線を俺に向けた。
「俺たちはまだ、縛られてる!メイのことが周りにバレたら、兄貴はどうなるかっ…」
「わかってる」
苦しそうに笑うその表情に、俺は言葉を失った。
わかってるなら…何で?
「ネオ、あのことは、メイに言ってない」
「え…?」
「俺は本気なんだ」
その表情から、瞳から。
兄貴の真剣さが伝わってきた。
自分の身を、危険に晒してまで、兄貴はメイを…欲しがってるんだ。
何かに執着すると、兄貴は絶対に譲らないことを、俺は知ってる。