薔薇姫-バラヒメ-
突然謝られた私は、苦笑することしか出来なかった。
「どうして?あなたは何も悪くないわ」
私の言葉に、男の子は躊躇いつつも口を開いた。
「俺の親父が…貴女を護れなかった」
「…驚いたわ。あなた、彼の…」
「弟の息子です」
彼の甥が現れたことに、私はいてもたってもいられず、
「…彼は?元気にしてる?」
そう聞いてしまった。
だから、男の子から聞かされた次の言葉に、私は声を失った。
「…叔父は…貴女を送ってすぐ、死にました」
元気に暮らしていると、そう…勝手に思っていた。
新しい奥さんと子供に恵まれて、楽しく過ごしていると。
「………そう」
それしか、言えなかった。
これ以上何かを言えば…泣き崩れてしまいそうだったから。
同時に、彼が死んでしまった原因が私にあると、何となく察してしまった。