薔薇姫-バラヒメ-
「芽依は頑固な上に意地っ張りだから、難しいわよ」
「…それでも、俺はメイが好きなんです」
純粋で、真っ直ぐな想い。
この子は、"本気"なのね。
「もしメイが、途中で帰りたいと言ったら、ちゃんと人間界に送り届けます」
その姿があまりにも必死で、芽依も罪な女ね、とか思ってしまったわ。
…そして、気づけば。
「わかったわ」
そう、返事を返していたの。
「え…」
「あら、喜ばないの?」
ぽかんとしている男の子が可笑しくて、私はクスクスと笑った。
「その代わり、条件があるわ」
その言葉に、男の子の顔つきが真剣になった。
「…はい。何ですか」
「簡単なことよ。簡単で、何よりも大切なこと」
それは…
「芽依の笑顔を、護ること」