薔薇姫-バラヒメ-
大切な、私たちの子供。
私たちの分まで笑って、幸せになって欲しいの。
「…護ります。必ず」
男の子の答えに、私はにっこりと笑い返した。
「約束よ。そういえばあなた、名前は?」
「…レオです」
「レオくん、芽依を…よろしくね」
―――…
「レオくんが帰ったあと、お父さんが部屋に来て、私は経緯を話したわ。だから私たちは、一年後に帰国しようって決めたの」
…お母さんの話が、あたしの心の奥で響く。
レオ。
レオは…あたしのこと、そこまで考えてくれてたの?
「それが、今日。芽依、あなたは…この世界を選んだのね?」
その質問に、あたしは唇を噛みしめて頷いた。
「理由を…聞いてもいい?」
今の気持ちを、こんなに誰かに聞いてもらいたいと思ったのは、初めてだった。