薔薇姫-バラヒメ-
あたしが静かに話し始めると、家族は黙って聞いてくれた。
何度も何度も溢れる涙を拭い、込み上げる嗚咽を抑えこみ、あたしは最後まで話し終えた。
「………芽依」
話し終えたあとすぐに、お母さんに名前を呼ばれた。
「芽依は、それでいいの?」
"それでいいの"?
…いいわけがないよ。
「お母さん…あたしっ…レオの傍にいたいよ」
「…ええ」
「いたいのにっ…どうしたらいいのかわからない…!」
レオは、あたしの笑顔を護ろうとしてくれた。
あたしの幸せを願ってくれた。
その優しさを振り切ってまで、あたしはレオの傍にいていいの?
そう何度も自分に問いかけたところで、答えなんか―――…
「永遠はそこにあるんじゃなくて、つくるものなのよ」
………え?
「幸せは訪れるんじゃなくて、掴むものなの」