薔薇姫-バラヒメ-
レオが立ち上がり、あたしを引っ張ってくれた。
あたしもよろよろと立ち上がると、レオがあたしを支えながら、片手のマイクを…
―――ん?マイク?
「演説の途中に悪いな。コイツがメイ。"薔薇姫の子"だ」
レオが向く方向を、恐る恐る振り返る。
…そこにいる、大勢の魔族。
ちょっと待って?
この状況は何!?
再び大混乱のあたしの頭。
こんな大勢の前で…
大告白したのあたし―――!?
「…俺は、貴族とか"薔薇姫の子"とか、そんなのは関係ないと思う」
レオに肩を抱き寄せられ、あたしは顔を真っ赤にする。
「レ、レオッ、みんな見てる!」
ひそひそと抗議の声を上げると、レオは笑った。
「一人の女として、こんなにも愛しいんだ」
…あたしを、殺す気ですか。