薔薇姫-バラヒメ-
眩しいくらいの笑顔に、あたしは悔しさを覚えた。
思いついたときには、あたしはレオの手のひらからマイクを奪っていた。
「おい、メイ!?」
「あたしも、魔族だって何だって、レオが好きなの!」
あたしの大声が、マイクを伝わって辺りに響く。
「貴族と結ばれちゃいけないとか、そんなの誰かが決めていいことじゃない!」
あたしは、両手でマイクをぎゅっと握った。
…もう、離れたくない。
「幸せを掴みたいなら、ものに頼らず自分で何とかするしかないの!!」
聴衆の魔族たちは、しん、と静まり返っている。
マイクは、再びレオの手に収まった。
「…そういうわけだ。いい加減、俺たちは"薔薇姫"から解放されてもいいんじゃないのか?」
レオは、ゆっくりと聴衆を見渡した。