薔薇姫-バラヒメ-
「魔界を支えるのは、魔界に住む俺たちにしか出来ないことだろ」
"薔薇姫"に、固執しすぎていた魔族たち。
誰かの力に、頼りすぎていたんだね。
一人一人が、きちんとした力をもっていたのに。
「俺は、魔界の新たな魔王として、ここに魔界の再構築を提案する」
静寂を突き破ったのは、小さな拍手の音。
その音は、あたしたちのすぐ後ろから聞こえてきた。
「…親父…」
レオが呟いた次の瞬間、割れんばかりの拍手が巻き起こった。
驚いているレオに、あたしは笑いかける。
「レオ…魔王になったんだ」
「ああ、…ってそれどころじゃなくね?」
「何で?レオ、認められたんだよ」
この鳴り止まない拍手が、その証。
もう、レオは"裏切り者"なんかじゃないよ。
立派な―――魔王。