薔薇姫-バラヒメ-
「メイ様、早く着替えをなさって下さい」
「…はい」
「レオ様、用件を告げるのをお忘れにならないで下さい」
「…おう」
あたしとレオを交互に注意した後、ロゼは全く、とでも言うようにため息をつく。
なんだか…ロゼの方がよっぽど貴族らしい。
「…で?用件って?」
あたしが催促すると、レオは腕を組んで答えた。
「今日、紅玉祭が行われるんだ」
「…こうぎょくさい?」
魔族のお祭りなんか知るわけもないあたしは、ただ顔をしかめた。
「10年に1度、月が紅く染まる次の日に催される祭りだ」
レオの説明を聞いて、あたしは首を傾げる。
「…なんで月が紅く染まる日じゃなくて、その次の日なの?」