薔薇姫-バラヒメ-
訊かれると思った、とレオは呟いた。
「月が紅く染まる日は、人間界とつながるだろ?魔族の大半は"薔薇姫の子供探し"で人間界へ行っちまうんだよ」
…そこまでして、薔薇姫の子供にこだわるんだ。
魔族の考えがよくわからない。
「人がいなくなっちゃうから、その次の日にお祭りやる、ってことね」
「ああ」
魔族のお祭り、かぁ…。
何となく不安。
「じゃ、部屋の前にいるから。さっさと準備しろよ」
「…2人で行くの?」
扉に向かって歩き出したレオの足がピタリと止まる。
ゆっくりとこっちを見る瞳は、笑っていた。
「何?2人で行きたい?」
「絶対イヤ」
即答するあたしに、レオは苦笑した。