薔薇姫-バラヒメ-
「残念ながら、ロゼも一緒だ」
「全っ然、残念じゃないからっ!」
「すみません」
「ロゼも謝んなくていいからっ!!」
レオは声を押し殺して笑いながら、ロゼを連れて部屋を出て行った。
あたしは閉まった扉を見つめながら、その場にしゃがみ込む。
『2人で行きたい?』
「――――ッ」
レオの言葉を思い出し、あたしは顔を押さえた。
何であんなセリフさらっと言えるの!?
あのニヤリ笑いといい、絶対タラシよアイツ!!
高鳴る心臓を静めようと、あたしは深呼吸を繰り返す。
…レオの罠にはまっちゃダメ。
好きになったら負けよ!
そう自分に言い聞かせながらも、あと1年もレオと過ごさなきゃいけないと思うと、憂鬱で仕方なかった。