薔薇姫-バラヒメ-

*****


「レオ様――ッ!久しぶり♪」


「きゃー!! レオ様じゃないっ」



………何?


この状況は、一体何!?



紅玉祭へ来たのはいいものの…


唖然とするあたしの前には、きゃぴきゃぴとした魔族の女の人に囲まれる、レオ。


対して、ぽつんと虚しく立つあたし+ロゼ。


ロゼは虚しくっていうか…相変わらず無愛想振りまいてるけど。



そもそも、レオが…


レオじゃない。



あの愛想の良さ。


振りまく爽やかな笑顔。


無駄な敬語。


「俺」じゃなくて「私」。



………誰?



「あれが、レオ様の表のお顔ですよ」


ポカンとするあたしに、ロゼが小さく呟いた。


あたしはロゼをちらりと見てから、また視線をレオに戻す。



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