薔薇姫-バラヒメ-
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「レオ様――ッ!久しぶり♪」
「きゃー!! レオ様じゃないっ」
………何?
この状況は、一体何!?
紅玉祭へ来たのはいいものの…
唖然とするあたしの前には、きゃぴきゃぴとした魔族の女の人に囲まれる、レオ。
対して、ぽつんと虚しく立つあたし+ロゼ。
ロゼは虚しくっていうか…相変わらず無愛想振りまいてるけど。
そもそも、レオが…
レオじゃない。
あの愛想の良さ。
振りまく爽やかな笑顔。
無駄な敬語。
「俺」じゃなくて「私」。
………誰?
「あれが、レオ様の表のお顔ですよ」
ポカンとするあたしに、ロゼが小さく呟いた。
あたしはロゼをちらりと見てから、また視線をレオに戻す。