薔薇姫-バラヒメ-
あの時、言ってた。
『最初の俺は、嘘の俺。疲れんだぜ?』
あたしに最初に会った時のレオは、正に今目の前にいる、あんな感じだった。
「…嘘の俺、かぁ…」
見ていて、今ならわかる。
レオの作り笑い。
「…疲れるなら、やめればいいのに」
ポツリと呟くあたしの耳に、再びきゃあきゃあとした声が届く。
「レオ様、あたしとお祭り回りましょ!」
「何言ってんのよ、私とよ!ねぇ、レオ様?」
…おモテなことで。
呆れ顔でその光景を見ていると、レオが不意にこっちを向く。
視線が絡んでしまい、あたしはふいっと顔を背けた。
「…悪いけど、連れがいるんです」
そんなレオの言葉が聞こえてきた。
同時に、周りの女の人からの落胆の声。