薔薇姫-バラヒメ-

…なんて、失礼なこと思っちゃったけど。


あたしはカイルさんに質問した。


「あのっ!レオ、見ませんでしたっ!?」


カイルさんは、にっこりと笑った。


「見たよ。あっちの方に行ったから、案内してあげる」


「ありがとうございます!」


パッと顔を輝かせるあたしの手を、カイルさんは握った。


あたしは驚いて、繋がれた手を凝視する。


「…か、カイルさん?」


「人混みで、はぐれちゃったら大変でしょ?」


…なんて笑顔で言われ、あたしは何も言えずに頷いた。


魔族の男の人って…積極的?


でも、ロゼは無愛想だし…。



深まる魔族のナゾに頭を悩ませつつも、カイルさんに連れられて人混みの中を移動する。



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