薔薇姫-バラヒメ-
「そういえば…」
「はい?」
ふと、発せられたカイルさんの言葉に、あたしは反応した。
「君、名前はなんていうの?」
「あ、芽依っていいます」
「メイちゃんか…可愛い名前だね」
面と向かってそんなことを言われ、あたしは恥ずかしくなった。
名前が可愛いって言われただけなのに…。
「メイちゃんも貴族なんだよね?」
火照る顔を仰ぐ片手を止めた。
あたしは一瞬、何でそんなこと言われるのかわからなかった。
けど、すぐに気づく。
「…あ、はい。そうなんです」
あたしの瞳は今、紅なんだ。
紅い瞳は、貴族の証。
「貴族同士で、レオとは知り合ったのかな?」
「はい、そんなとこです」