薔薇姫-バラヒメ-

そう答えてから、あたしはしまった、と思った。


さっきレオは、あたしのこと"妹"って言ったのに。


カイルさんには、きっとただの貴族の関係だと思われた。



嘘と嘘が、矛盾した。



そこであたしは、顔をしかめた。


そもそも、何で"妹"?



急にムカムカし始めたとき、カイルさんに話しかけられて我に返る。


「メイちゃん?聞いてる?」


「はいっ!?」


「だから、メイちゃんに彼氏はいるの?」


あたしの素っ頓狂な返事に苦笑しながら、カイルさんが言った。


あたしは慌てて首を横に振る。


「い…いませんよ!!」


「レオは?」


「あんなやつ、論外ですっ!」


必死に否定するあたしに、カイルさんは「やっぱり」と呟いた。



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