薔薇姫-バラヒメ-
「レオの友達だっていうのも、レオが向こうにいるっていうのも、全部嘘なんでしょ!?」
あたしの言葉に、カイルさんは嫌な顔をせず、ただ微笑んだ。
けどそれは、氷のように冷たい微笑みだった。
「バレちゃった?」
「何でっ…」
「僕、レオが大っ嫌いなんだ」
おどけたようにそう言うと、カイルさんはあたしに近づいてきた。
「どいつもこいつも、レオ様、レオ様。生まれた時から、アイツは大貴族だった」
「…そんなことでっ、」
急に、腕をつかまれる。
あまりの力強さに、あたしは顔を歪めた。
「君も貴族だしね。僕みたいな貧乏人の気持ちなんてわからないさ」
「ちょっと、放してよ!!」
「ダメ。君は僕の花嫁になるんだ」