薔薇姫-バラヒメ-
―――はぁ!?
話が飛びすぎて、ついていけない。
「貴族の君が僕の妻になれば、僕も貴族の仲間入りだ」
「―――っ…」
瞳が蒼くたって、紅くたって…
ろくなことないじゃない。
みんな、瞳の色しか見ない。
瞳でしか、判断しない。
…どうして、"あたし"を見てくれないの?
溢れ出るあたしの涙を、カイルさんはそっと拭った。
「レオは大嫌いだけど、君は好きだな」
「…あたしは…レオが好きよ」
カイルさんが、ピクリと反応する。
「あんたみたいな利益しか考えない最低男より、あたしはレオのほうが好き!!」
冷たい瞳を向けられても、あたしは怯まずにその瞳を睨み返した。
カイルさんは、小さく笑った。