薔薇姫-バラヒメ-
「レオは利益を考えてない、とでも?」
あたしは唇を噛み締めた。
レオとは、まだ知り合って1日しか経ってない。
レオの何もかも知ってるわけじゃない。
―――でも。
「あんたが思ってるより、レオはずっと優しいわ」
あたしが、薔薇姫の子だから、レオはあたしを魔界に連れてきた。
そのまま、無理やり結婚に持ち込むことだって、きっと容易だった。
でもレオは、一度も"貴族"という言葉で、あたしを縛り付けたりしなかった。
気取った態度もとらないから、あたしは安心した。
…1年の、猶予をくれた。
レオは…
自分の利益だけで動く人じゃない。
変態で、オレ様で、タラシだけど。
だけど…
「レオをっ…悪く言わないでッ!!」