薔薇姫-バラヒメ-
何でレオをかばってるのか、自分でもわからない。
けど、見た目や噂だけで判断されてるのが、何だか悔しかった。
「へぇ…」
つかまれた腕に、激痛が走る。
そのまま、あたしはカイルさんに抱き寄せられた。
「…やッ……!!」
その腕の中から抜け出そうともがいても、無理だった。
「…でも君は、僕のものだ」
耳元で囁かれ、全身に悪寒が走った。
無理やり顎を持ち上げられると、すぐ目の前にカイルさんの顔。
その顔が、徐々に近づく。
―――やだ、やだっ!!
こんな時に限って、声が出ない。
必死の抵抗は、虚しく終わる。
―――誰か―――!!
「レオ―――ッ!!」