【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~
昨夜も夕食を終えて聖良さんの肩を抱き寄せていたあいつは、不意に立ち上がるとオレに歩み寄ってきた。

時間は9時になろうとしている。…ああ、またいつものやつかと小さく溜息をついたオレ。

一応覚悟はしていても、寒いモンは寒い。聖良さんが止めてくれる事を心で願ってみるが、彼女はオレがこの時間になると散歩に行くのだと思い込んでいる。

……それ違うから。洗脳されないで欲しい。

「んー?アッシュ、散歩に行きたいのか?聖良が心配するからいい加減に帰って来いよ?」

すげぇ綺麗に微笑みながら心にも無い優しい言葉を吐きつつ、オレを抱き上げると、ベランダに放り出す一瞬前に、聖良さんに気付かれないように冷たい声で耳元で低く囁く。


「アッシュ、分かっているだろうが絶対に朝帰り…いや、昼帰りをしろよ。あんまり早く帰ってきやがったら晩飯は抜きだ。」


…ひでぇヤツだ。おまえ悪魔じゃねぇか?


龍也って、やっぱり性格がひん曲がっていると思う。

聖良さーん。こいつはこう言うヤツなんだぜ?

騙されてないかぁ?

ピシャン☆と拒絶を物語る冷たい音で締め出されたオレが、大きな溜息をついてベランダから飛び降りようとした時、部屋の中からは聖良さんの甘い声が漏れ始めていた。

はぁ…しょうがねぇ。明日は出来るだけ遅く帰ってきてやるか。

そう心で呟いて、オレは部屋を後にした…。


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