【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~
10分後…。
ようやくオレの願いが通じ、すげぇ機嫌の悪い龍也が窓をあけ、オレを中へと入れてくれた。
全裸一歩手前の龍也がうざったそうに前髪をかきあげ、速攻でオレを部屋からつまみ出す。
ドアが閉まる瞬間に、シーツの海から酸素を求めて顔を出す聖良さんの姿が目に飛び込んできた。
ああ、邪魔しちまった訳ね?
龍也の聖良さんへの溺れ方は尋常じゃないからなぁ。
きっと猫のオレにさえ、肌を見せたくないとかアホな嫉妬をして、聖良さんを布団の中に押し込んだんだろうなあ。
天才と何とかは紙一重って言うけど……オレ(猫)に嫉妬って…マジでアホの極みだな。
頭のいい奴ってやっぱりどこかネジが飛んでいるのかもしれない。
オレは呆れながらリビングへ向かうと、陽だまりのできるいい場所に聖良さんが用意してくれたベッドに潜り込み、すぐに丸まって瞳を閉じた。
ちなみにこのベッドも聖良さんのお手製で、ちょうどいい大きさの籐の籠に可愛らしい少女趣味のクッションを敷き詰めて飾られている。
家具も少なく殺風景なこの部屋には恐ろしく不似合いなものだ。
例の洋服同様かなり恥ずかしいのだが、寝心地が凄く良いから、このベッドで寝るようになってから、どうも他では熟睡できなくなってしまった。
夜遊びしても早々に帰って来る理由がそれだって知ったら…龍也のことだ、ベランダにベッドを出しておくからそこで寝ろとか言われそうだな…。
この季節にそれは嫌だよなぁ。バレない様にしなくちゃ…。