ハスキー
なぜか何かあるとこの人は,言ってくるのだ。

『らしくないぞ。』
って。
あたしらしさってなんだろう。
ヨシハラが分かっててもあたしに教えるようなことはしない。



『お?
もう時間か....
ほら,さっさと準備しろッ。』

頭にポンっと手をのせられ,髪をぐちゃぐちゃ。
これも日常。
『はぁ―い。
着替えてきまぁす。』



ロッカールームに行く。
『みんな,早いよ――...ι』


『ナルがいつも遅いんだよ―(笑)』
『店長とじゃれてるしさぁ。』

みんなが笑う。


ヨシハラはすごいやつだ。
あいつはとにかく人を見る目がある。

ここに勤めにきているみんなが....

容姿・性格完璧。

ちゃっかり自分のいた大学からも引っ張ってきてたり。
まぁ,みんなと言っても今は12人だけど。

みんなここが楽しくて来てるみたいだ。
あたしと同じように。
給料もかなりいい。
ここは毎日やってるわけではないので勤めやすいのだ。

『ほら,店開けんぞ――』
向こう側でヨシハラの声がする。


こんなふうにあたしの夜が始まる。
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