ハスキー
『.....うぁ―――
胃ごと吐きそうだ....

おい,ナル。
呼び出しかかった理由
分かってる?
...つかその顔じゃぁ分かってねぇなι』
呆れたような物言い。
『知りませんけど。』
サラリと流す。
今まで会った教師どもはこのあと大概が自分勝手な生徒の理想像を述べて納得をさせて終わりだ。
あたしはただはいはい,と相槌をうればいい。
もちろん納得などしていないが。
今日もそう思っていた。
『まぁ...対したことでもねぇし。
いっか。』
....あれ?
来ない。
教師の大好きな説教が。
めずらしいな―と思っていたら。
『本人が気づかねぇならしょうがねぇよな。

そのかわりと言っちゃぁなんだが....
お前進路どうすんだ?』
あ。やっと教師らしい質問きた。
『どうって....
何て答えてほしいですか?』
いつもの切り返し。
どうせ
『そんだけ勉強できるなら上目指せ』
って言うんでしょ??

そんなの正直うざったい。
あたしの人生をどうして勉強で価値づけようとするわけ?
それが学校の価値を上げるから?
学校と言う名の店が繁盛するから?
あたしはやっぱりショーウインドーの品物でしかない。
前の担任もその前も
見ていたのはあたしの成績。
あたしのことを知ろうとさえしなかったあいつら。
あたしはあんた達の何なの?
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