ハスキー
『どうって....

そりゃお前,
俺はお前が1番スキなことを
ずっとできればいいって思うけどよぉ。』
そう言ってなんてなっ,と軽く笑う。

不覚。
カッコイイなんて思ってしまった。
それは笑顔だけじゃない。
あ,この人はあいつらとは少し違うって本能が伝える。

『あたしはっ.....』
言葉がでない。

あたしは言ってもいいのだろうか。
将来何をしたいか,どうするのか。
あたしの思考を打ち明けても彼は,あたしを理解しようとしてくれるだろうか。

『言いたくねぇならまたそのうちに....な。』
ニカッと初めて会った時のように笑う。

『....じゃぁ,そのうちに。』
内心ドキドキしながらも,顔は平静を保ってそっけなく答える。
もういいぞ,と笑ってあたしを教室に戻した。
何のためにあたしを呼んだんだろうか。
進路のことを聞くため?

しかし試された気はする。
どんなやつか知りたかったのだろう。
何を考えてるかよく解らない,いつも言われてきた。

そんなの当たり前でしょ?
他人に解るほど簡単な思考で物事みてるわけじゃない。
物事の先のさきを読むことをあたしはよくする。
それ故だろう。

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