ハスキー

4:ねぇ,必要ですか。

ゆるやかに時は流れている。
あたしの周りも,あたしの中身をも取りこぼすことなく。
ゆっくりゆっくり。
変わることも飽きることもなく。

初めに荒井に呼ばれたその後,何度か呼び出しをくらっている。
そのたびに今日はどういう話だろうと,柄でもなく考えている自分がいる。
呼ばれてもたいした話しはしていない。
ただあっちが
『ん――。話し相手がいなかった。』
とか
『いい加減シュウって呼べよ―』
とか。
どうでもいいことばっか。
でも正直嫌じゃない。
むしろ時々楽しみにしている自分がいる。

―――あれ以来,あたしは学校を休むことはしていない。
遅刻は相変わらずだが。
仕事も休むことなく。

平凡な日々が流れていく....はずだった。

久々に仕事が休みとなり,いつもより早く学校へ行った。(早くと言っても9時半。)
授業は一時間目。

こっそり入って席につく。
『おはよう,ナル。』
前から声がした。

.....荒井だ。
『今日はえらく早いんだなぁ(笑)』
『別に....』
いつも通りそっけなく答える。
席に着いて,いつも通りぼぉっと授業をうける。
いつも通り時間が過ぎた。
いつも通りチャイムが鳴り,授業が終わる。
そう,いつも通り授業を受けて昼休み。

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