素直になりなよ

夜、真衣は受話器片手に震えていた。

『将斗先輩…今何て言った…んです…か…??…』

電話の相手は将斗先輩。
美菜に言われた通り、電話で将斗先輩の気持ちを確かめるためにかけた。

『俺、先輩に言われたんだよ。彼女は作らない方がいいって。ましてや遠距離だろ?部活に命かけてる俺としては、先輩の言う通り、彼女作らない方がいいと思うんだよ。だから…もう終わりにしたい。真衣がホントに俺のこと思ってるなら、分かってくれるよな?』
"そんな…何でよ…真衣は将斗先輩の彼女でいたいよ…だから、終わりにしたいなんて言わないでよ"

真衣はそう、先輩に言いたかった。
でも、真剣に話す将斗先輩にそんなことは言えなかった。
代わりに口から出た言葉…
『真衣も、もう遠距離は耐えられないです。さようなら。』

…。
あたし最低だ…。
絶対傷付けた…。
将斗先輩は何も言わずに電話を切った。
すぐに涙が溢れてきた。
あたし…何やってんだろう……同じこと、何回繰り返せば気が済むんだろう…
涙は止まらない。
拭いても拭いても溢れてくる…

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