【長編】Sweet Dentist
【第1章】10月4日(火曜日)
はあっ…
今日何度目かのため息
どうしよう…。
ここまで来ちゃったけど、怖くて足が動かない
もう、15分も入口の前で言ったりきたりするあたし。
神崎 千茉莉(かんざきちまり)17才 高校3年生。
この町で一番美味しいと評判の洋菓子店SWEETの一人娘。
お菓子作りが何より好きで将来はもちろん家業を継いでパティシェになるつもり。
進路もバッチシ!有名料理学校への進学が決まっている。
高校では家庭科部に所属していて、お裁縫なんかそっちのけでいつも新作のお菓子を作っては部室で披露しているの。
みんなが美味しそうにあたしの作ったお菓子を食べてくれる時が一番幸せ。
美味しい物を食べる時人はこの上ない幸せな表情をする。
特にそれがSweets(甘いお菓子)であれば尚の事。
誰もが天にも昇るような、ホンワリとした恍惚ともいえる表情になるのよ。
本当に美味しいお菓子をたくさんの人に食べてもらいたい。
それがあたしの夢
幸いあたしは太らない体質らしく、どんなにお菓子を試食しても太る事は無い。
それはいいのだけれど・・・
問題は歯なのよね
あたしは虫歯になりやすいのか、しっかり歯磨きをしてフロスも毎日しているのに何故かすぐに虫歯になる。
甘いものも味見程度にして控えるようにはしているんだけどなぁ。
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