【長編】Sweet Dentist
もう会えないのはわかっている。

あの夜だって、また会う約束なんてしていないもの。


もう本当に会う事も無いのかもしれない。


今度虫歯になっても、響先生のところへは行けないね。

虫歯になっても響先生に連絡しなかったなんてバレたら『なんで来なかった』って怒られそうだけど、それでも会えばまた切なくて…この気持ちを伝えたくなってしまうと思う。



もう会えないんだね…



そう思ったら涙が後から後から溢れてきて止まらなかった。


「響せん…せぃ…。…っ…好き…。好き…だよぉ。」


涙で視界が滲んで何も見えなくなる。

クッションに顔を埋めて嗚咽が零れないように必死で声を堪えて泣いた。

あたし、こんなにも響先生の事が大好きなんだ。



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