【長編】Sweet Dentist
「先輩。あたし、先輩のことずっと好きでした。先輩を想ってずっとピアノを弾いてきました。その音はとても純粋で透明感があると評価されました。でも、あたしの目指していた音楽はそれとは違うものだった。」
亜希は一旦言葉を切ると自分の中の何かを確認するように瞳を閉じた。
それから数秒の間を置いて開かれた瞳はハッとするくらい綺麗だった。
全ても迷いを吹っ切ったような真っ直ぐな瞳で俺を射抜くように見つめてくる。
「あたしは聴いてくれる人を切なくする音ではなく、癒せる音を生みたかったんです。
なかなか思う様な演奏が出来ずに壁にぶち当たって苦しんでいたあたしを救ってくれたのは聖さんでした。
それまでのあたしのピアノは響先輩のための音だった。
大好きな先輩を諦めてまでピアニストの道を選んだ、あの日の記憶がずっとあたしの音だったんです。
綺麗で、切なくて、純粋で…初恋の音そのものだった。
でも、聖さんはあたしが本当に求めていたものに気付かせてくれた。
誰かを愛して癒してあげたいと思う心を教えてくれた。
あたしのピアノを最も望んでいた音に導いてくれたのは…
あたしを愛してくれた聖さんでした」
「亜希は素晴らしい人と出会ったな。」
亜希は一旦言葉を切ると自分の中の何かを確認するように瞳を閉じた。
それから数秒の間を置いて開かれた瞳はハッとするくらい綺麗だった。
全ても迷いを吹っ切ったような真っ直ぐな瞳で俺を射抜くように見つめてくる。
「あたしは聴いてくれる人を切なくする音ではなく、癒せる音を生みたかったんです。
なかなか思う様な演奏が出来ずに壁にぶち当たって苦しんでいたあたしを救ってくれたのは聖さんでした。
それまでのあたしのピアノは響先輩のための音だった。
大好きな先輩を諦めてまでピアニストの道を選んだ、あの日の記憶がずっとあたしの音だったんです。
綺麗で、切なくて、純粋で…初恋の音そのものだった。
でも、聖さんはあたしが本当に求めていたものに気付かせてくれた。
誰かを愛して癒してあげたいと思う心を教えてくれた。
あたしのピアノを最も望んでいた音に導いてくれたのは…
あたしを愛してくれた聖さんでした」
「亜希は素晴らしい人と出会ったな。」