【長編】Sweet Dentist
俺と聖さんの瞳が絡んだ。

何も言わなくてもわかる。

『必ず幸せにするさ』

聖さんの澄んだ瞳は、そう俺に告げていたから。

俺は聖さんに最高の笑顔を送り、この二人には幸せになってもらいたいと心から思った。

実らなかった初恋は綺麗なまま心に残ったけれど

…それは決して終わりなんかじゃない。

俺も亜希も、あの日から新しい道を歩いていた。

あの日が俺達の本当の意味での始まりだったんだ。



蜂蜜色の風景の中小さな天使が振り返った情景が胸に蘇る。



もう迷わない。

何もしないで千茉莉を失うくらいなら、自分の気持ちをきちんと告げよう。

千茉莉が俺を好きじゃなかったら好きにさせればいい。それだけだ。

聖さんと握手を交わし、挨拶をしてから亜希を振り返る。

俺は心を決めて口を開いた。



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