【長編】Sweet Dentist
今日の分の不快感は十分に味わった。もう、あんなヤツには会いたくない。

そう思っていたのに…。

悪魔が戻ってきたのは、あたしたちが数種類のケーキを選んで、大会の参考にと吟味をしているときだった。


「オイ、まだいたのか?いくつケーキ食ってんだよ。」

…またこいつか。


「何ですか?お見合いに行ったんじゃなかったんですか?随分早いですね。まさか早速断られたとかじゃないでしょうね。」

「まさか…。さっきも言ったろう?結婚するつもりで会うわけじゃないって。」

「じゃあ、断って来たとか…。それってもっとサイテーじゃない。」

「違うって。勝手に勘違いするなよ。おまえ、俺のこと相当ひどい奴だと思っていないか?」

「思っています。」

「………。」

「何ですか?その沈黙は。」

「おまえ…すげぇムカツクわ。あの女性(ひと)はなあ、俺の高校時代の先輩の彼女なんだよ。」

「先輩の彼女と見合いって…それもサイテーじゃない。」

「ちがうよ!!なんて説明したらわかるんだよ。おまえの皺の無いツルツルの脳みそにわかるように説明するほうが難解だよ。まったく。」

そう言うと、ドッカとあたしの横に座り込んで紅茶をオーダーし始める。

なんで座るのよ。あっちいってよ。


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