【長編】Sweet Dentist

『かんざき ちまり』



その名前が俺の中で眠っていた何かを揺り動かして目覚めさせた。

心の奥を揺さぶられるような激しい思いが溢れ出してくる。

蜂蜜色の夕日。小さなキャンディ。綿飴みたいな髪。振り返った少女


背中に一瞬見えた天使の羽…



胸の奥底に眠っていた忘れていた思い出が鮮やかに目の前に広がった。



ずっと忘れていた誰かを想う気持ち…

胸を締め付けられるような切ない気持ち…



心が忘れていた何かを取り戻したような気分だった



「わかった、受けるよ。彼女の治療。」

俺は無意識にそう呟いていた。



彼女は今も天使の羽をその背に持っているんだろうか…。




目を瞑れば鮮やかに蘇る。

あの蜂蜜色の夕日に照らされた純白の羽。

何で忘れていたんだろう。

こんなにも優しく綺麗な情景を…




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