【長編】Sweet Dentist

その時・・・・


「おまえ、邪魔なんだよ。さっきから何やってんだ?営業妨害か?」

冷たいテノールの声が響いた。驚いて振り返る。

もう夕方に差掛かろうとしていた陽が逆光になってその人を照らしていた。

身長が153cmと、もう少し欲しい所のあたしより20cm位高い長身の男性。

短く刈り込んだ髪を金髪に染め、逆立てている。耳にはオニキスのピアス。

目はカラーコンタクトなのかグレーの瞳をしている。

この人も治療に来たのかな?あたしそんなに邪魔だったかなあ?

そんなことを思いつつも一応反論してみる。

「なっ、違いますっ!ちゃんと受診に来たんです。」

慌てて反論するや否や、じゃあさっさと入れと腕をつかまれズルズルと院内に連れ込まれてしまった。




あたしの腕を掴んだ男性はずんずんと院内の診療室にあたしを連れて行った。

????訳が分からない。まだ受付もしていないのに、いきなり診療室なんて!

周囲の患者さんも、スタッフの人もみんな唖然としている

そりゃそうよ。こんな、バンドでもやっていそうなお兄さんがいきなり診療室へドカドカ入り込んできたら何事かと思うでしょう?

しかも、この人偉そうにスタッフに指示を出している。

一体誰なのこの人?



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