【長編】Sweet Dentist
考えてもみなかったことを言われ、俺は明らかに動揺した。

宙と話していると、千茉莉を手放すことが間違いのような気がしてくる。

自分の願望との相乗効果は絶大で、何が何でも千茉莉を傍に置きたくなってしまう。


―っ!駄目だ…


ブレーキを強く踏み込み急停車した。

宙が勢いで俺のシートに鼻をぶつけ、目を白黒させている。

突然の行動を理解できなかった様子で、猫でも飛び出したのか、と寝ぼけたことを言っている。

今の衝撃で、千茉莉も目を覚まし、キョトンとした顔で周囲を見回していた。

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