【長編】Sweet Dentist
「宙、降りろ」

「はっ?」

「てめぇ、さっきから俺の気持ちを掻き乱すようなことばかり言いやがって…。
俺だってイッパイイッパイなんだよ。
俺が冷静でいられるうちに降りて歩いて帰れ」

「はあぁぁぁっ? ひでぇじゃん。夜道に置き去りかよ?」

「歩いたってせいぜい20分くらいだろ?
女じゃないんだから、襲われやしねぇよ」

サラリと冷たく言い放つと、ようやく状況がつかめてきたらしい千茉莉が、慌てて間に入ってきた。

「響先生、どうしたの?
宙が何か言ったの? そんなに怒らないで、ね?
もう遅いんだし送ってあげて?
あたしは最後でいいんだから。ねっ?」

可愛らしく小首を傾げておねだりされて、強く拒否することも出来ない。

渋々宙を送り届けることを了承したが、それは直ぐに後悔に変わった。


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