【長編】Sweet Dentist
出逢いの日、蜂蜜色に染まったこの髪を綿飴のようだと思ったことを思い出す。

懐かしい思い出と、目の前の彼女の成長に、胸に迫ってくる感動をどう伝えていいか分からなくて

そのまま肩を抱き寄せ、腕の中に取り込んだ。

「えっ…ちょ…っ? 宙が見てるっ響先生?」

相変わらず油断すると名前で呼べない千茉莉。

クスクスと笑いながら心の中で一つカウントする。

バツゲームまであと僅かだって…千茉莉が知ったら焦るだろうな、などと考えながら、腕の中でジタバタする彼女を黙らせる。

「…なぁ、あのシフォンケーキは俺だったんだろう?」

「え?」


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