【長編】Sweet Dentist
一人娘のあたしにとても甘いパパは、以前から留学には良い顔をしなかった。

だけど、大会で優勝したら、そのときはパパだって許してくれるだろうと思っていたし、パパもそれなりの覚悟はしていたようだ。

だけど、その期間はせいぜい数ヶ月だと思っていたらしい。

あたしだって優勝者がそんなに長く留学できるとは聞いていなかったのだから。

一人娘でたった一人の跡継ぎを遠くへ行かせたくないパパの気持ちはなんとなく解る。

だけど、こんなにもこじれるとは思ってもみなかった。


大体、タイミングも良くなかったのだと思う。

大会の日は帰ったのが遅かったので、朝の早いパパは既に就寝中。

賞については詳しいことを話せず翌朝を迎えてしまった。


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