【長編】Sweet Dentist
ぼうっと思い出に浸りながら遠い目をしていたあたしのおでこに、突然ふわっと何かが触れた。

「え?何…」

目の前に響先生のドアップが迫っている。

「……っ、ぅぁああきゃぁっ!」

あたしの声に驚いたのか響先生は耳を抑えて一歩下がって眉をしかめる。

「おまえ、耳がいてぇだろうが。んなでっかい声出すなよ」

「先生がそんなに至近距離であたしを見たりしているからでしょう?
ビックリするじゃないですか」

「千茉莉がボ~ッとしていたからだよ。熱でもあるのかと思って」

そう言ってあたしの前髪をかき上げると
おでこをくっつけて熱を測ろうとする。


さっきおでこの触れた感じがあったのはこのせいだったのね。



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