【長編】Sweet Dentist
「俺は母親の事を、遠い記憶に僅かに残るイメージ以外、何も覚えていませんでした。
今日話を聞くまでは、母が俺を愛していたのかどうかも、思い出せなかった。
でも…今は感じることが出来ます。 俺は…本当に愛されていたんですね」
「ああ、そうだよ。アリスさんは本当に君を愛していた。
とても可愛がっていてね、俺の勉強の間も、君はお母さんから片時も離れない甘えん坊だったんだ。
膝の上から降りなくて勉強の邪魔になると、いつもアリスさんが困っていたよ。
俺は全然構わなかったけどな。【響坊や】はお母さんから離れるとピイピイ泣いて五月蝿かったし、むしろ膝の上でも大人しくしてくれているほうが、勉強もはかどったからな。
あの頃まだ2歳くらいだったと思うけど、まるでフランス人形みたいに可愛くて女の子みたいだったんだぞ?」
シンミリとした雰囲気を払拭するように、ワザと【響坊や】を強調して、笑いを誘うパパ。
響さんはそれに合わせるかのように、あたしに向かって「覚えてねぇし」と拗ねたように言った。
二人がまるで仲の良い親子か兄弟に見えなくもなかったりして…
あたしは心の中がふんわり温かくなって
嬉しくて仕方が無かった。
今日話を聞くまでは、母が俺を愛していたのかどうかも、思い出せなかった。
でも…今は感じることが出来ます。 俺は…本当に愛されていたんですね」
「ああ、そうだよ。アリスさんは本当に君を愛していた。
とても可愛がっていてね、俺の勉強の間も、君はお母さんから片時も離れない甘えん坊だったんだ。
膝の上から降りなくて勉強の邪魔になると、いつもアリスさんが困っていたよ。
俺は全然構わなかったけどな。【響坊や】はお母さんから離れるとピイピイ泣いて五月蝿かったし、むしろ膝の上でも大人しくしてくれているほうが、勉強もはかどったからな。
あの頃まだ2歳くらいだったと思うけど、まるでフランス人形みたいに可愛くて女の子みたいだったんだぞ?」
シンミリとした雰囲気を払拭するように、ワザと【響坊や】を強調して、笑いを誘うパパ。
響さんはそれに合わせるかのように、あたしに向かって「覚えてねぇし」と拗ねたように言った。
二人がまるで仲の良い親子か兄弟に見えなくもなかったりして…
あたしは心の中がふんわり温かくなって
嬉しくて仕方が無かった。