【長編】Sweet Dentist
「俺はオッサンが響君を抱いて遊んでいるのを何度も目にしたことがあるし、君も父親になついていたと思う。
少なくともアリスさんがいた頃は、君たちは本当に幸せそうだったよ。
オッサンはアリスさんに惚れこんでいたから、あんなことがあってショックだっただろうと思う。
アリスさんを失ってから暫くは仕事もせず、随分財産を注ぎこんで捜したって話を聞いた事があるからな」
「財産を注ぎこんで捜した?
そんな事初めて聞きます。それに『あんなこと』って?
…神崎さんは、俺の母がいなくなった理由を知っているのですか?」
「…え? 君は知らないのか?」
「幼い頃から何度か父に質問したことはあります。
でも、父親は母の事に触れられるのを凄く嫌がって、少しでもその話に触れると不機嫌になりましたから、幼心に、母の事を訊くのはタブーだと悟ったんです。
だから今もその理由は知りません」
「…そうだったのか。それもまた辛いな」
少なくともアリスさんがいた頃は、君たちは本当に幸せそうだったよ。
オッサンはアリスさんに惚れこんでいたから、あんなことがあってショックだっただろうと思う。
アリスさんを失ってから暫くは仕事もせず、随分財産を注ぎこんで捜したって話を聞いた事があるからな」
「財産を注ぎこんで捜した?
そんな事初めて聞きます。それに『あんなこと』って?
…神崎さんは、俺の母がいなくなった理由を知っているのですか?」
「…え? 君は知らないのか?」
「幼い頃から何度か父に質問したことはあります。
でも、父親は母の事に触れられるのを凄く嫌がって、少しでもその話に触れると不機嫌になりましたから、幼心に、母の事を訊くのはタブーだと悟ったんです。
だから今もその理由は知りません」
「…そうだったのか。それもまた辛いな」