【長編】Sweet Dentist
心の傷は簡単には癒えない。

彼の傷は、今日の切っ掛けで、ほんの少し小さくなったに過ぎないのだ。


あたしには大きな力は無い

それでもあなたが必要としてくれるなら

求めてくれる限り傍で支えてあげたい

ねぇ…お願い。

独り抱えてきたその苦しみをあたしに預けて…

寂しさや孤独に囚われた夜はあたしの胸で泣いて…

あなたの全てを共に受け止めるから…。

お願い―…

もう二度と独りで苦しまないで。



小さくなっていくテールランプが

名残を惜しむかのように光って角を曲がる。


彼が視界から消え去っても、まだ傍にいるようで―…


あたしはその場から暫く離れることが出来なかった。



++ 12月10日 Fin ++


最終章 12月15日へ続く…



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