【長編】Sweet Dentist
「千茉莉!…くっ、真由美おまえ何をっ……」
先生が声を荒げるのが聞こえる。
あぁ、あたしもしかして殴られたの?
ようやく自分に何が起こったのか少しずつわかり始めると、今度は「なぜ?」という気持ちがふつふつと湧き上がってくる。
「響が悪いのよ。
私を治療してって言ったのに断ってこんな娘を相手にしてるから。
私は本気であなたを好きなのよ。何で私はダメでこの娘はいいのよ。
お父さまに言いつけてやるから」
真由美と呼ばれた女性はあたしを凄い目つきで睨んだ。
「いい、お嬢さん。響に惚れてもダメよ。
彼には私という婚約者がいるんだから。
彼に近寄る女は私が許さない。
私が響と結婚するのよ」
「真由美、いい加減にしろ!
婚約なんてしていないだろう?
見合いの話だって断ったはずだ。
いつまでも付きまとうのは止めてくれ」
「……っ!…ひどいわ。
私と結婚しないとあなたが…この医院が困る事になるのよ。
分かっているんでしょう?
あなたには拒否権なんて無いのよ。
あなたは私と結婚しなくちゃいけないのよ。」
「おまえと結婚するつもりはない。
医院が欲しいのなら勝手にしろとおまえの親父に伝えろ。
親同士が決めた結婚なんてするつもりはないし、おまえみたいな女とだけは俺は結婚したくないんだよ」
「酷い!何でよ?私にはお金もあるし、この医院だって買い取ってあげられるのに」
「それはおまえに金があるんじゃなくておまえの父親に金があるんだろう?
親の脛をかじっているくせに、大きな事を言うんじゃねぇよ」
「そんな…私と結婚すればこの医院だって手放さなくてもいいんでしょう?あなたにとっては好条件のはずだわ」
「俺は、心を売ってまでこの医院を存続させたいとは思わないんだよ。
その手を離せよ」
冷たい瞳で真由美さんを見つめる響先生の声は、感情というものが欠落しているように冷たくて、あたしは今まで17年間生きてきてこんなに冷たい声は聞いたことがなかった。
先生が声を荒げるのが聞こえる。
あぁ、あたしもしかして殴られたの?
ようやく自分に何が起こったのか少しずつわかり始めると、今度は「なぜ?」という気持ちがふつふつと湧き上がってくる。
「響が悪いのよ。
私を治療してって言ったのに断ってこんな娘を相手にしてるから。
私は本気であなたを好きなのよ。何で私はダメでこの娘はいいのよ。
お父さまに言いつけてやるから」
真由美と呼ばれた女性はあたしを凄い目つきで睨んだ。
「いい、お嬢さん。響に惚れてもダメよ。
彼には私という婚約者がいるんだから。
彼に近寄る女は私が許さない。
私が響と結婚するのよ」
「真由美、いい加減にしろ!
婚約なんてしていないだろう?
見合いの話だって断ったはずだ。
いつまでも付きまとうのは止めてくれ」
「……っ!…ひどいわ。
私と結婚しないとあなたが…この医院が困る事になるのよ。
分かっているんでしょう?
あなたには拒否権なんて無いのよ。
あなたは私と結婚しなくちゃいけないのよ。」
「おまえと結婚するつもりはない。
医院が欲しいのなら勝手にしろとおまえの親父に伝えろ。
親同士が決めた結婚なんてするつもりはないし、おまえみたいな女とだけは俺は結婚したくないんだよ」
「酷い!何でよ?私にはお金もあるし、この医院だって買い取ってあげられるのに」
「それはおまえに金があるんじゃなくておまえの父親に金があるんだろう?
親の脛をかじっているくせに、大きな事を言うんじゃねぇよ」
「そんな…私と結婚すればこの医院だって手放さなくてもいいんでしょう?あなたにとっては好条件のはずだわ」
「俺は、心を売ってまでこの医院を存続させたいとは思わないんだよ。
その手を離せよ」
冷たい瞳で真由美さんを見つめる響先生の声は、感情というものが欠落しているように冷たくて、あたしは今まで17年間生きてきてこんなに冷たい声は聞いたことがなかった。