【長編】Sweet Dentist
「大丈夫か?何処か他に痛むところはないか?」

今日は何故そんなに至近距離で話すのでしょうか?

目を開けると響先生の顔がすぐ傍にあって、真由美さんの入ってくる前の状況を再現しているような形になっていた。

ドキドキしながらも、さっきから心に引っ掛かっている事を聞いてみる。

「先生…どうしてあたしはいつもここで治療を受けるの?
他の人は向うのフロアーで治療を受けるでしょう?
あたしだけここにいるから真由美さんが勘違いしたんじゃないの」

「…いや。それは違うと思う。
千茉莉は俺にとって特別だから…
彼女はそれを感じたんだよ」

「特別って…。さっきのあたしが先生を救ったとか言うあれの事?
あたし先生に何かしたことあったっけ?それに…」

「…ん?」

「…天使って何のこと?
…前にもそんなこと言っていた事があったよね?
どう言う意味なの?」

響先生は暫く考え込むように黙り込んだけれど

ふっと笑って『そのうち教えてやる』と言ってあたしの頭をワシャワシャとかき回す。

その瞳が
口調が
仕草が

とても優しくて…

胸がドキドキして…


きゅんって締め付けられるように切なくなった。



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