【長編】Sweet Dentist
突然金髪男があたしを抱き上げ診療台に無理やり座らせると、両肩を固定するように押さえつけ、あたしの上に跨るようにして上から覆い被さってきた。

鼻が付きそうな位の距離であたしの顔を覗き込む。

うわっ、かっ、顔近すぎ!


男の人に抱き上げられた事なんて始めてで、もちろん誰かが覆い被さってくるなんて経験はした事が無い。

……あたしって、もしかして襲われてるの??

体が石のようにカチカチに硬直して、心臓は全力疾走したときみたいにビートを打っている。

「千茉莉はいやなのか?俺に治療されんの。女はみんな俺に治療してもらいたがるんだ。光栄に思えよ。」


そのセリフを聞いた時あたしの中の何かが切れた。


ぷっち~~~~~ん!


「ふざけないでよ。女がみんなあなたを好きになるとでも言いたいの?ばかにしないでよ。」

グレーの瞳を睨みつけ、押さえつけられた腕を何とか外そうと身を捩って暴れる。


「は~な~し~て~!!このヘンタイ!女子高生を襲う歯科医って訴えるわよ!!」

「馬鹿、おまえみたいなガキ、興味ねえよ。」

「じゃあ、どいてください。誰が見ても襲ってるじゃないですか。」

「でもまあ、治療させてくれないんだったらこのまま襲うけど?」

あたしの耳元に顔を寄せて低い声で信じられない言葉をさらりと言い放った。

耳を疑う言葉。

……何ですって?



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