【長編】Sweet Dentist
不意にぐらりと体が揺らいで、一瞬何があったのかわからなかった。

気付いたら宙の顔が近くにあって、あたしは宙に抱きしめられる格好になっていた。

「ちょっ…なにするのよ。・・・っ、やぁっ…」

「何年おまえの事が好きだったと思ってるんだよ千茉莉」

宙の顔が不意に近付いてあたしの唇触れそうな距離まで近づいた。

「俺にしておけよ。叶わない想いをいつまでも抱いているなんてバカらしいぜ」


叶わない想い…その言葉が胸に突き刺さって辛かった。


「俺が忘れさせてやるから…。俺と付き合おう、千茉莉」


忘れられるんだろうか、宙となら…。





―――響先生…。





宙の唇が静かに重なった。






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