【長編】Sweet Dentist
何をやっているんだろう俺。

千茉莉のことが気になっているのはわかるけど、何で俺千茉莉の学校の前まで来ているんだろう。

もしかしたら千茉莉の姿を少しでも見れるかもしれないとか思っている自分がいて、千茉莉と同じ色のタイをしている女生徒を見かけると目で追ってしまう。


俺、端から見たらヤバイんじゃねぇかな?



やっぱりまずいよな。

こんな所千茉莉に見られたらまた、ヘンタイとか言われそうだし、ヤッパリ帰ろう。

そう、ただ散歩のついでにちょっと寄ってみただけだし、変に意識することもないんだ。

千茉莉が友達と笑っている所でも見れたら安心できるかもと思っただけだし。

とにかくあの涙が頭から離れてくれないと俺も落ち着かないからな。

自分にそう言い聞かせて学校を見渡せるフェンス越しに校庭の様子をなんとなく眺めてみる。


懐かしいな。


俺がこの学校を卒業してもう10年以上になるのか。

あの頃は龍也や暁といつも一緒だったな。

ビケトリとか呼ばれて大変だった事もあったっけ。

思い出が一気に押し寄せてきて懐かしい時間に一時心を馳せる。



そのときだった――








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