【長編】Sweet Dentist
「ううん、響先生は本当に腕がいいと思う。痛みに弱いあたしでも大丈夫だった。あたしは先生がホストだなんて思わない。あたしが認めてるんだからピカイチだよ先生の腕。認定書でも鑑定書でもつけてあげる」

あたしの言葉に驚いたように目を見開いて、とても綺麗な心からの笑顔で、応えるようにあたしを抱きしめてくれた。

私だけに向けられた最高の笑顔。

このときの響先生の笑顔をあたしはきっと永遠に忘れない。

「千茉莉…ありがとう。おまえは本当にイイコだよ」

イイコ…

その言葉に胸が痛くなりながらも先生の声に安らぎを感じて、少しは癒してあげられたのだと嬉しくなる。


こんなあたしでも最後に少しは先生のために何かできたんだね。


抱きしめられた腕の中が温かくてこの人を救いたいと心から思った。



「苦しまないで…大丈夫あたしが付いているから。先生の心をきっとあたしが救ってあげるから」


――― あなたが好きです。響先生 



この想いを言葉に出きたら




この胸の裂ける様な痛みは楽になれるのかな…。









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